アニメの締めくくりは、前半がコミックス第1巻・第1話、後半が15巻ラスト〜16巻イントロまで。原作小学生編の最初と最後がアニメの最終回という、粋な構成です。前者<トンネルの誘惑>シーンには、この作品の一番重要なテーマがこめられてます。
トンネルは一方が暗い闇、一方が明るい外に通じていて、チルドレンのポジションはその内部、ほの暗い入り口近くのトワイライトゾーン。生まれた境遇や過去を呪う犯罪エスパーの言葉で、闇に一歩引き込まれそうになる彼女たちを、皆本が明るい光の中に呼び戻す・・・というのがこのシーンの構成です。「無限の可能性を持っている子供と、それを導く青年の物語」として、意図するところとロケーションを一致させたわけですね。
猪爪さんと川口監督は「アニメでは一年間皆本と暖めた絆があるため、チルドレンは原作通りの誘惑には乗らないだろう」とのことで、ワタシも同感です。そこで<犯人は自分の頭に銃を突きつける>ということにしてもらいました。この変更でチルドレンは、<闇の中から犯人を救う言葉と力を持たない>という立ち位置にちょっとシフト。が、光の中から現れる皆本に託したメッセージはそのままです。
「全ての人間、全ての子供の未来は輝いている」
このメッセージが、あなたの心に届きますように。そしていつか、どこかで、それを必要としている子供の心を救いますように。
マフィアの用心棒役として、アリがカメオ出演。彼の登場エピソードはテレビにはちょっと危なすぎて欠番だったのですが、彼が兵部に取り込まれるという展開は原作読者にも喜んでいただけたのではないでしょうか。声をセクシーに演じてくださったのは・・・・谷崎役の家中さん!
家中さんは、当日のセッションやスタッフの意向で変更が加わることを承知の上で、入念に事前の演技プランを練るそうです。谷崎の楽しいアドリブも「なぜその芝居・台詞になるのか」を徹底的に検証した上で構築なさってて、この作品に限らず過去の演技やセリフを細部まで覚えてらっしゃるんですよ。そして、スタジオでサインしているワタシをしばらく見て、
「腕のどこかを必ず固定なさるんですね。以前絵師の役をやったとき、取材が足りなくて惜しいことをしたなあ。<不動の軸を持つ職人・人物>として表現できたのに・・・」
絵描きでもなかなか気づかないポイントです。それに一目で気づいて、しかも「演技の中に、リアリティーと同時に主題・主張が生まれる」と。すごいと思いました。その役者魂に加えて普段の陽気で気さくな人柄・・・カッコイイ!
さらに、ゲームに登場したドリーも登場。このためだけに、ちゃんと小清水亜美さんが来てくださいました!うわあ、ありがとうございます!! 大丈夫ですか浦狩さん! すごいよ浦狩さん!
エピローグとなる後半Bパートには、作画に加々美さんが入ってくださいました。この一年、総作監・キャラデ・版権イラストと、その仕事量は膨大で、しかもアイキャッチにはかならず手をいれてくださってましたが、「絵を動かしたい・・・!」と、ずーっと悔しそうにしてらっしゃいました。というわけで加々美さんのターン!
アニメーターさんたちの中にも、加々美さんとお仕事したくて参加してくださった方、何人もいらっしゃるんですよ。Aパートの藤崎さんたちもがんばってくださって、フィナーレを飾るのに相応しい、すばらしい作画でした。ありがとうございます!
六條院小学校の子供たちの合唱は、女性キャストオールスターが歌ってくださったものです。豪華メンバーすぎて、音源をそのままCD等に収録するのはほぼ不可能だとか(笑)。お名前を並べると・・・