TVアニメ『THE UNLIMITED 兵部京介』 第三話: 清楚と汚濁 -Queen not a Princess-
2013-01-26


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『THE UNLIMITED 兵部京介』
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 ノーマルの立場でエスパーたちを思いやる皆本と、その真っ直ぐさの化身である「プリンセス」。兵部だって本当は世の中がそうあって欲しいと思っているのだけれど、世界がそんな理想通りに行くのなら、彼は学ラン着て暴れてません
 タイトルが暗示しているように、プリンセスに、ひいては皆本にシンパシーを感じながらも、同じエスパーである「クィーン」でなければ満たすことができない兵部の心の空白を描くという、シブい脚本のショートエピソードです。

 お互いを理解しつつも相容れない男たちが火花を散らす・・・・・・センセイそんな話が大好物です。女子のちちしりふとももの次になんですが



 兵部のキャラクターイメージの土台は<光に憧れる吸血鬼>です。闇に追いやられ、自分を焼きつくす太陽を憎みつつも、その美しさから目を背けることができないでいるという。愛しているからこそ拒絶されたことを憎み、憎むほど執着が増す。そこが彼の矛盾の出所です。

 皆本も賢木も、自分たちの理屈では兵部が救われないことをわかってて、しかしそれを認めてしまえば次の世代の未来にも影を落とすことになります。世の中は正しいことばかりではないけれど、踏みとどまってよりよいものに変えていくべきだと信じているのです。理想というのはたしかにきれい事かもしれない。でも、きれい事を理想として追うことをやめたら、世界には美しいものが生まれなくなってしまうではありませんか。お前はそれもわかってるんだからちょっとは聞き分けて折れたらどうだよと。

 すでに絶望して闇に堕ちてしまった兵部からすれば、そんな理屈は何の意味もありません。彼にしたって光の中にとどまれるものならとどまっていたかったのです。大人になることを拒み、手を汚す道を選んでン十年、今さら改心したら怨霊として生きてきたこれまでが無に帰してしまうじゃないですか。そこに甘っちょろい正論を言ってくる何十才も年下の皆本たちというのはたいへん面映ゆく、そしてちょっとまぶしい。本来なら彼自身がなりたかった、なれたかもしれない姿だからです。

 だからつきまとい、苦しめることで、自分の選択が正しかったことを証明したい。しかしふと救いの手を差し伸べたりもしてしまう。彼らを汚したい気持ちと、きれいなままでいて欲しいという矛盾があるんですね。そしてそんな自分の心理からは目をそらし、「ただのきまぐれだククク」とか「幼女に頼まれたからだククク」とうそぶいているという。番目はそれはそれで問題があるような気もするのですが、「ロリコン」と呼ばれる方が「お前実はいい奴なんじゃね?」と言われるよりマシなのでしょう(笑)。

 まーつまりかなり真性のかまってちゃんなわけで、内心「めんどくせえなあこいつwww」と思ってもいるのですが、<何かというと額の傷を見せたがる>とか、<相手を動けなくしてアゴをつかんで話すのが好き>とか、何も考えなくてもスラスラ出てくるのはなぜかしら。なんだかしらないけど同じこと繰り返すんで、描き直そうとすると声がするんですよ。「好きなんだからこのままで」って、遊佐さんっぽい声が。



 ソフィー王女役は、前作でキャリー役をお願いした名塚さんですね。前回は皆本にとっての、今回は兵部にとっての、甘い心の痛みを象徴するポジションを演じていただいたことになります。そして可愛いぞ東山さん!


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[アンリミ]

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