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2月は日数が少ないため、月刊連載だと影響が直撃します。確定申告もありますしね・・・。加えて今回はネームにものすごく時間がかかりました。大量の説明を一気にぶちこみつつ、漫画の一話として成立させるのに苦労した感じです。最終的には「ギリギリ漫画になったかなー」という感触で、高橋留美子先生の感想は「ちゃんと面白かったよ。よく捌きましたねえw」でした(笑)。わかってくれてる・・・もう一生ついていこうと思いましたね(笑)。
もともと『半妖の夜叉姫』は、各キャラクターのバックストーリー・事件の背景が盛りだくさんな作品です。コミカライズではそれをまとめたり簡略化したりしてきましたが、漫画として構成するにはまだ情報量が多め。最終的には「悪いことはだいたい妖霊星が黒幕」「殺生丸は時間の乱流に巻き込まれている」「御母堂様も手伝ってくれてる」等でなんとか漫画で語りきれる情報量に抑え、そのアレンジに合わせる生活描写やキャラの関係性を盛り込んで形を整え、どうにか仕事は果たせたかなーと。
殺生丸さまのタイムループはかなり大きいアレンジに見えるかもしれませんが、「バッドエンドを回避するためだった」とすれば、彼のミステリアスな行動にまとめてざっくり説明がつきます。戦国御伽草子の基本構造は異世界転移ものなんで、このギミックとの相性は良さげだし。あと私の描く殺生丸さまはやっぱ私のキャラになっちゃうわけで、読者にはそこんとこを「長いこと苦労してればまあ多少は変わるのもしょうがない」って納得していただきたい。1話を描きあげた直後あたりに高橋先生に打診して、特に問題なく許可してもらってました。
犬の大将が『天下覇道の剣』で息子に語ったセリフ「お前に守るものはあるか?」、あれはまあ単純に考えれば「愛する者がいてこそ、男は強くなれる」的な話なんでしょうけど、コミカライズにあたってはさらに深堀りしてみました。結果「何をどう守りたいかによって、求める強さや力は変わる。オールマイティーな絶対の強さなどというものはない」という解釈はどうかなと。コミカライズのおやかた様が「強さはひとつではない」つってたのはそういう意味で、ひとつの強さを極めたからこそのアドバイス。単純に剣の勝負・妖力の勝負なら殺生丸さまはそう簡単に引けを取らないはずなんですが、「妖霊星によってこんがらかった所縁・縁・運命を解きほぐし、グッドエンドに到達する」という戦いにおいては、力づくだけではどうにもならず、ついに父の言葉の意味を理解して、娘たちの覚醒に運命を託す決断をした・・・・って構図。
「天真爛漫な若奥様りんちゃんと、クールな御母堂さまとの嫁姑関係」「御母堂さまとの関係が気まずくてドキドキするかごめちゃん」は描くのを楽しみにしてた描写です。御母堂さまは内心では十六夜さまのことを面白く思ってないはずですが、誇り高いので態度には出しません。犬夜叉はあんまりピンときてなくても、かごめちゃんはその辺りを察して胃がキリキリしちゃうという(笑)。
新米ママのりんちゃんが夫の悪口を言う犬夜叉に反論するシーンは、例によってキャラのアドリブです。ふだんの生活・子育ての様子が垣間見える楽しい場面になって気に入ってるんですが、「殺生丸さまにおむつ替えなんか似合わないし、私がさせません!」というのは「なるほど・・・」と思いました(笑)。まあ昔の身分が高い人たちは子育ての実務はほとんど乳母や召使いに任せちゃうんですけどね。殺生丸さまはそのつもりで豪華な屋敷と使用人の無女を用意してて、でもりんちゃんがなんとなく「楓さまやもろはちゃんと一緒なのも賑やかで楽しいかも・・」って風なのを察してそのように。そしてフタを開けてみたら現代人のかごめちゃんのスタイルと価値観に(あれ? そういうものなのか・・?)みたいな。